coffee生豆を焙煎する前に洗うか洗わないか、様々なご意見がありますね。
私なりに情報収集した内容をもとに枠組みを考えてみました。
結論・さらに調査が必要です
現時点(2024/11/10)では、洗うか洗わないか、結論を出す為に十分な情報が揃っていません。
洗う場合と、洗わない場合、洗った際の水、それぞれの成分分析等が必要と思われます。
引き続き情報収集して、新しい情報が得られたら記事を更新or追加します。
ですので、現時点では、私が収集した様々な情報やご意見を参考に、洗うか洗わないかを検討する上での枠組みを考えてみたいと思います。
枠組み
まず一番に考える必要があるのは、「健康への悪影響があるのかどうか」という点だと思います。
健康への悪影響がある、または悪影響がある可能性が高いのならば、coffee生豆は洗うべきだ、という結論になります。
次に、健康への悪影響がない、または悪影響がある可能性が極めて低いのであれば、coffee生豆を洗うことによるメリットとデメリットを比較することになります。
健康への影響
健康に影響を及ぼす要因として考えられるのは以下です。
✓残留農薬等、人体に有害な化学物質
✓カビ等、人体に有害な自然由来の物質
✓生産地の土壌や水などに由来し、人体に明確に有害とは言い切れないものの、衛生上考慮すべき物質
残留農薬等
残留農薬等については、原則的には、coffee生豆もほかの食品全般と同じ基準を満たして輸入・販売されています。
coffee生豆を輸入・販売する際には、2つの法律に基づいた基準を満たす必要があります。
1つめは植物防疫法です。
植物防疫所での検査の結果、輸入されたcoffee生豆に病害虫等が付着していると判明した場合は、消毒、駆除、廃棄等の措置が命じられます。
消毒、駆除する際には、具体的には、燻蒸という処理が行われます。
2つめは食品衛生法です。
輸入されたcoffee生豆は、厚生労働省が定めた「残留農薬等に関するポジティブリスト」に基づいて検疫所で検査が行われます。
検疫で不適格と判断されたものは販売できないため、輸入者は積戻し・廃棄等の措置を取ります。
この2つの基準からすると、原則的に、2つめの食品衛生法で適格と判断されたcoffee生豆だけが販売されるので、生産地での農薬等の使用量の多寡にかかわらず、残留農薬等の心配をする必要は無い、ということになります。
また、1つめの植物検疫法で不合格となり、燻蒸が行われた場合には、輸入は可能になりますが、燻蒸に使用した薬剤を含めて、残留農薬等の基準を満たさなければ販売できません。ですので、この場合も、販売されているcoffee生豆は残留農薬等の心配をする必要は無い、ということになります。
なお、植物検疫所や検疫所による検査は、輸入される全量に対して行われるものではなく、必要に応じてサンプリングされたものですが、この検査方法はcoffee生豆に限ったことではなく、輸入植物はすべて同じように検査されています。
<参考>
コーヒーの輸入手続き:日本 | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ
残留農薬|厚生労働省
カビ等
カビが生えたcoffee生豆を除去する方法は、洗う・洗わない以前に、ハンドピックで選別するしかありません。
coffee生豆には、カビが生えているなどの欠点豆が含まれています。
カビには、食品や薬品の製造に欠かせないなど人間に有益なものがある一方で、有害な物質であるカビ毒を産生するものもあります。
カビ毒は、現在100種類以上が知られていますが、この内、coffee生豆で確認されている主なカビ毒は、オクラトキシンAという物質です。
オクラトキシンAは、非遺伝毒性発がん物質であり、腎毒性もあるとされています。また、水洗いや焙煎の熱では除去出来ません。
オクラトキシンAを産生するカビはアスペルギルス属などに複数種類あります。
現時点(2024/11/10)で、オクラトキシンAについては、食品衛生法等での基準は設けられておらず、検討中の様です。
なお、内閣府食品安全委員会が2014年に行った食品健康影響評価現状では、「オクラトキシンAの暴露量は高リスク消費者においても今回設定した耐容一日摂取量を下回っていると推定されることから、食品からのオクラトキシンAの摂取が一般的な日本人の健康に悪影響を及ぼす可能性は低いものと考えられた。」、となっています。
いずれにせよ、coffee生豆に人体に有害な量のカビ毒が含まれている恐れがあるとしても、洗っても除去できませんので、ハンドピックで取り除くことになります。
<参考>
かびとかび毒についての基礎的な情報:農林水産省
いろいろなかび毒:農林水産省
資料1:食品中のオクラトキシンAの規格基準の設定について
衛生上考慮すべき物質
coffee生豆を洗う理由として、ネット上で多数見られるご意見は下記のようなものです。
✓残留農薬を除去する。
✓生産地でcoffee生豆を精製する際に、現地の土壌が付着したり、使用される水が衛生的なのか懸念がある。
✓カビが生えているcoffee生豆が混入しているので、これを除去する。
これらのうち、残留農薬とカビについては、上記の通りです。
2つ目の点については、一般に販売されているほかの輸入農作物と同じ様に考えるべき問題ですので、冒頭でお示しした枠組みからは外れます。
ですので、以降は、coffee生豆を洗うことによるメリットとデメリットを比較します。
メリットとデメリット
coffee生豆を洗うことによるメリットとデメリットとは、洗ったほうが美味しいのか、洗わないほうが美味しいのか、を比較することです。
ですが、どちらが美味しいか、なんて、一人一人の好みの問題ですから、比較不可能です。
比較可能なのは、洗ったcoffee生豆と、洗わなかったcoffee生豆、および、それぞれのcoffee生豆で淹れたコーヒーの成分の違いです。
また、成分の違いの原因となる、洗った後の水も、成分を調べる必要がありそうです。
ただ、私自身には、成分分析を行う設備も知識もありませんので、これは今後の宿題にしたいと思います。(専門の企業や機関に依頼することになり、きっとお金もかかるので、単独で進めるのはつらいな、と考えております。)
新たな結果が得られましたら、記事を更新or追加します。
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