「コーヒーを飲むと目がさえて夜眠れなくなる。」とかよく言われますが、カフェインがどう影響するのか、カフェインレスとは何か、等まとめてみました。
なお、カフェインが気にならない人にはそもそも関係のない記事なので、そういう方はスルーしてください。
カフェインって何?
天然由来の有機化合物であるアルカロイドの一種です。
アルカロイドは植物や微生物などが産生する窒素を含む天然化合物の総称で、非常にたくさんの種類が知られています。
カフェインはコーヒーやお茶、カカオ(ココアやチョコレート)に多く含まれます。
また、食品添加物としてエナジードリンクなどに大量に含まれていたり、医薬品として使用されたりもしています。
どんな影響がある?
人間の体内にあるアデノシンという物質は、神経を鎮静させる作用を持つとされています。カフェインはこのアデノシンと化学構造が似ていて、本来はアデノシンが結合すべき場所(受容体)に結合してアデノシンの働きを阻害してしまいます。これによって神経が鎮静せず興奮状態が発生します。
カフェインを過剰に摂取して、神経が刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不眠などが起こります。また、胃腸が刺激されて下痢や吐き気、嘔吐することもあります。
長期的には、人によっては高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦には胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。
なお、カフェインアレルギーという言葉が散見されますが、カフェインによる胃腸の不調などは食物不耐症であり、免疫に作用した結果としてあらわれるものではないため、カフェインは食物アレルギーには含まれないとされています。
<参考>
食物アレルギー表示ハンドブック
健康に影響のない量は?
体質等によって個人差はあると思いますが、一般的には、過剰に摂らない限り、心配する必要はなさそうです。
では、過剰な量とはどのくらいでしょうか。
世界保健機関(WHO)は2016年に、1日300mg 以上の高カフェイン摂取の妊婦は出生時の低体重、流産や死産のリスクが高まる可能性があるとして注意喚起しています。
コーヒーに含まれるカフェインの量は、60mg/100mL位とのことなので、コーヒー1杯が200mLとして、2杯飲むとカフェインの摂取量は240mg程度、ということになります。
ちなみに、日本では食品のカフェインの含有量に基準や規制はありません(2024/11/15時点)が、農林水産省や消費者庁など複数の機関が、過剰摂取に注意するよう情報を出しています。
<参考>
カフェインの過剰摂取について:農林水産省
食品に含まれるカフェインの過剰摂取について | 消費者庁
カフェインレス?デカフェ?
カフェインレスやデカフェと表示するためには、カフェインを90%以上除去する必要があります。
(全国コ-ヒ-飲料公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」)
coffee生豆からカフェインを除去する方法は3種類あります。
✓有機溶剤を使用する方法
✓水を使用する方法
✓超臨界状態にした二酸化炭素を利用する方法
このうち、1つ目の有機溶剤を使用する方法で加工されたcoffee生豆は、日本への輸入は認められていませんので、2つ目と3つ目の方法について説明します。
水を使用する方法
ごく簡単に言ってしまうと、coffee生豆を水に浸し、溶けだしたカフェインを分離する方法です。
カフェイン以外の水溶性の成分も、一緒に水に溶けだしてしまうのでは、と心配になりますが、カフェイン以外の成分を飽和状態にした水を使用しますので、カフェインだけが溶けだしてくる、という仕掛けです。
カナダとメキシコに専門の加工業者があり、それぞれ独自の方法で加工しています。
✓カナダ:Swiss Water社、スイスウォータープロセス
✓メキシコ:DESCAMEX社、マウンテンウォータープロセス
それぞれの方法に大きな違いはない様で、マウンテンウォータープロセスでは加熱した水を使用する点が目立つ相違点でしょうか。
なお、水を使う方法で加工したcoffee生豆は、通常の生豆と異なり、茶色い色になります。
超臨界状態にした二酸化炭素を利用する方法
二酸化炭素は、常温・常圧では気体の状態ですが、温度や圧力が異なる環境下では、液体や固体の状態になります。
超臨界状態とは、温度と圧力を調整して、異なる物性を同時に持つ状態にすることです。
二酸化炭素に温度と圧力をかけて、気体と液体の両方の物性をもつ超臨界状態にして、カフェインが溶けだす温度と圧力でcoffee生豆に浸透させ、カフェインだけを除去する、という方法です。
この技術での加工業者は日本国内にもありますので、今後は国内での加工が広がっていくのかもしれません。
味は?
カフェインには苦みを中心とした風味がありますので、これを90%以上除去したカフェインレスやデカフェは、カフェインレスではないコーヒーとは味わいが異なってくると思われます。
また、同じカフェインレスでも、加工方法によって味わいが異なってくるでしょう。
どちらが美味しいかは好みの問題なので、いろいろ試してみて、自分にあうものを見つけてみてください。
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