アネロビック(アナエロビック)とは?

anaerobic(アネロビック、またはアナエロビック)とは、コーヒーノキの実(コーヒーチェリー)からcoffee生豆を精製する際の、工程の一つです。
なお、表記はアネロビックの方が発音に近いので、こちらを使います。
(検索するときはアナエロビックの方がヒットします。)

嫌気性という意味です

アネロビックは「嫌気性」という意味です。
エアロビック(aerobic)に、否定の接頭語のanが付いたものです(an+aerobic)。
(ちなみに、エアロビクスは、aerobic exerciseを縮めた言葉で、本来は有酸素運動全般を指します。)

アネロビック ファーメンテイション(anaerobic fermentation)というのが精製工程の正式な名前で、「嫌気性発酵」という意味です。

特徴は?

アネロビックのコーヒーには、強い個性を持った香りや風味があります。
嫌気性発酵させる時間には長短さまざまあるようですが、長くとるほど、発酵によって生じた香りや風味が強くなります。

例えると、ぬか漬けは、野菜をぬか床で乳酸発酵させて作りますが、浅漬けならあっさりした味で元の野菜の風味や食感がよく残っていますが、古漬けにすると酸味や塩味が強くなってくるのに似ているように思います。

アネロビックのコーヒーは、従来の精製方法で作られたコーヒーとは異なる味わいです。
このため、好き嫌いが分かれるかもしれませんね。

実際に「人工的なもの。」といった否定的な意見もあるようです。
ですが、コーヒーチェリーの果肉の発酵によって風味付けするもので、香料等を添加して作っているわけではありません。

どうやって作られている?

発酵の方法は、生産者によっていろいろなやり方がある様ですが、共通しているのは、コーヒーチェリーを、空気を通さない(anaerobic)容器の中で、発酵させる(fermentation)点です。
容器は、樽や、樽が回転するようになっているもの、大きなビニール袋など、生産者によって様々なものを使っているようです。
発酵させるための菌は、コーヒーチェリーに元々付いている菌で自然に発酵させるやり方や、別途発酵させた果肉を加える方法、乳酸菌など別の菌を加える方法があります。
ちなみに、乳酸菌を加えて発酵させると、ヨーグルトの風味がするそうです。

コーヒーチェリーを精製する方法として、大別するとナチュラルとウォッシュドがありますが、どちらもアネロビックの工程を組み込んだものがあります。

アネロビック・ナチュラル

ナチュラルの場合は以下のような工程で精製されます。

コーヒーチェリーを密閉容器で嫌気性発酵させる。
→発酵後、天日や機械で乾燥させる。
→機械で果皮と果肉を取り除く。

アネロビック・ウォッシュド

ウォッシュドの場合は以下のような工程で生成されます。

コーヒーチェリーを密閉容器で嫌気性発酵させる。
→発酵後、機械で果皮と果肉を取り除く。
→天日や機械で乾燥させる。

順番が違うだけ?

あれ?と思われますよね。
嫌気性発酵後に、乾燥させてから果皮と果肉を除去するのか、除去してから乾燥させるのかの、違いだけ?

なお、上記は工程をかなり大雑把にしたもので、実際の工程にはもっと細かい作業がたくさんあります。また作業の順番や内容については、生産地や生産者によって異なります。

ただ、アネロビックの工程が組み込まれることで、ナチュラルとウォッシュドの境界が曖昧になっていく可能性はありそうです。

コーヒーチェリーの精製方法は日々新しい方法が編み出され、進化していますので、今後も動向をウォッチしていきたいと思います。

新しい精製方法とどう付き合う?

また、アネロビックとは別に、インフューズドといって、他の材料と一緒に漬け込んで、その材料の風味や香りを移す工程もあります。
風味付けの材料として、果物やハーブやスパイスやシロップなどが使われます。
紅茶でいうフレーバーティーのようなものですね。

アネロビックもインフューズドも、コーヒーの新しい楽しみ方として、ありだと思います。
ただ、「特別な精製方法で作っています。」等の表示をせずに流通しているcoffee生豆もあるようです。
ということは、普通の精製方法で作られたと思って飲んだコーヒーが、強い風味や香りがあってびっくりしたものの、実はそれはアネロビックかインフューズドだった、ということも起こりえます。
(さすがにインフューズドなら、「普通と違う」と分かると思いますが。)

生産地や生産者、流通業者は様々でしょうし、私たちが収集できる情報には限りがありますが、「あれ?」と思う場合は調べて報告していきます。

いずれにしても、生産地や生産者の間の競争は熾烈で、高付加価値化で差別化を図っている、ということでしょうか。

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